江ノ島電鉄の腰越駅から津の方向へ歩いていった腰越中学校の裏手に宝善院がある。真言宗で山号は加持山(かじさん)。創建は天平神護年間(765〜767)、開山は泰澄(たいちょう)と伝えるが詳細は不明。もともとは泰澄が日頃信仰していた十一面観音を祀ったのが始まりとされる。本尊は薬師如来。その他に観音像があるが、この観音像はもともと現在の腰越小学校の近くにあった観音堂に祀られていた。この観音像には次のような伝説がある。 昔、明治の神仏分離のため、観音像のあった観音堂は廃れ、荒れ果てていたという。ある日、この近くに住んでいた木こりの夢枕にこの観音が現れ、観音堂が荒れ果ててしまったことを嘆いたという。驚いた木こりはこの宝善院の住職にこのことを話し、この観音像を宝善院に移すことにしたという。
宝善院