江ノ島電鉄の腰越駅から南へ向かい線路を渡って細い道を直進すると勧行寺がある。日蓮宗で山号は竜口山。本尊は三宝祖師。
 勧行寺は「輪番八ヶ寺」の一つである。片瀬の竜口寺は当初、特定の住持を置かず、本蓮寺、法源寺、常立寺、本成寺、勧行寺、東漸寺、妙典寺、本龍寺の片瀬や腰越にある8つの日蓮宗の寺が輪番で竜口寺祖師堂の管理をした。これを務めた寺を「輪番八ヶ寺」と呼び、いずれも山号を竜口山としている。輪番制がいつから始まったのかは明確ではない。輪番は平日は五日おきに交代するものとされ、順番は例えば本蓮寺を中心にすると、法源寺・常立寺・本成寺・勧行寺・東漸寺・妙典寺・本龍寺の順に回された。また正月、施餓鬼会、法難会などを執り行う順番も別に定められていたことが東漸寺や本龍寺の過去帳に見えている。この輪番制は明治16年(1883)頃には行われなくなったようであり、明治19年(1886)に住持が置かれ、廃止された。



勧行寺

 勧行寺は嘉元元年(1303)に日実によって創建と伝える。本尊の他には文殊菩薩がある。これは江戸時代、近くに住む漁師の若者が海中から釣り上げ、家に置いておいたところ、毎夜家の人がうなされるので勧行寺におさめたものだという。天和3年(1683)に火災、寛政3年(1791)に暴風雨、大正12年(1923)に関東大震災とたびたびの天災に見まわれた。


撮影日:2011年5月14日
鎌倉市腰越2丁目
(鎌倉郡腰越村)


位置

参考文献

清田義英『鎌倉の刑場 竜の口』 敬文堂、1978年
『鎌倉の寺 小事典』、かまくら春秋社、2001年

2011/06/18 UP
2011/06/30 改稿のため登録取り消し
2011/08/09 改稿(輪番制度)
2017/08/09 CSS改修
▲非表示