八幡宮の流鏑馬道から白旗神社の参道を行き、白旗神社の社殿を左に曲がって若宮行く途中、休憩所の近くに源平池を小さな池があり、橋が架かっている。かつてはうっそうとした木々に囲まれ、動かぬ池の水面が周りの古木をうつし出す静かな場所であった。近年、池周辺の木々は切り払われ、かつての薄暗い景色は失われてしまった。池から白旗神社の方向へ少し歩くと、「柳原」の碑がある。碑には「このあたりは昔、柳の名所であったので柳原と言う言い伝えがある。『年経たる 鶴岡辺の柳原 青みにけりな 春のしるしに』という古歌が伝えられている。その歌の作者は明らかではないが、一説には北条泰時の歌とも言われている。現存の柳は当時の名残であろう」といった意味の言葉が刻まれている。



柳原

 柳原はもと八幡宮舞殿東方、薬師堂前までをさした地名で、昔、柳が多かったことからこの名がある(『新編鎌倉志』)。碑にある古歌は『歌枕名寄』(うたまくらなよせ)によると、これは北条泰時作とし、「やなぎ原」の部分を「松の葉」としている。また「鎌倉攬勝考」(かまくららんしょうこう)は、この池の水辺に片枯れした柳の老大木があり、わずかに枝葉を生やしていたのが地名の由来で、またこの柳に蛇が住んでいたが、八幡宮炎上の際に焼けたという伝説を伝えている。

撮影日:2010年10月27日
(一部2002年6月1日)
鎌倉市雪ノ下2丁目
(鎌倉郡雪下村)

ありし日の柳原

現在の柳原。上宮脇の階段下方面から。

池水を眺める。 柳原 柳原から休憩所を見る
鶴亀石 由比若宮遥拝所 柳原の石碑 石碑 柳原から舞殿を見る

位置

参考文献

『新編鎌倉志・鎌倉攬勝考』(雄山閣、1958年)
吉田幸一他編『歌枕名寄』4(古典文庫、1975年)
稲葉一彦『「鎌倉の碑」めぐり』(表現社、1982年)
『かまくら子ども風土記(改訂十版)』(鎌倉市教育委員会、1991年)
白井永二『鎌倉辞典』(東京堂出版、1992年)
奥富敬之『鎌倉史跡事典コンパクト版』(新人物往来社、1999年)

2011/01/13 UP
2011/01/16 誤記の訂正
2011/01/18 リンク改修(鶴岡八幡宮)
2017/05/05 CSS改修・改稿
▲非表示