長勝寺の門前から名越坂に向かって歩いていくと、美容室の横の路地の入口に「十井之一 銚子の井」と彫られた石碑があり、その奥の細い道、住宅の横に埋もれるようにして銚子の井という井戸がある。鎌倉十井じゅっせいの一つで「石の井」とも言う。『新編鎌倉志』には「長勝寺の境内にある、(ことことから俗に)長勝寺は『石井の長勝寺』と呼ばれる」といった記述がある。なお、長勝寺の開基は石井氏で、山号も石井山いしいざんというから、現在でこそ人目のつかない場所にひっそりと佇んでいるが、かつてはこの井戸の場所まで長勝寺の境内で、長勝寺の象徴的な存在であったのであろうか。井戸の名前の由来は、井戸の蓋がお酒を入れる銚子の形をしているからであるという。


銚子の井

撮影日:2008年2月12日
鎌倉市大町5丁目

銚子の井の入口 路地の奥にある 銚子の井 銚子の井

位置

参考文献

河井恒久ほか編 『新編鎌倉志・鎌倉攬勝考』(大日本地誌大系)(雄山閣、1959年)
奥富敬之『鎌倉史跡事典コンパクト版』、新人物往来社、1999年

2021/11/07 UP
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