手広の青蓮寺の近くにある神社は熊野神社である。祭神は伊弉冉命(いざなみのみこと)、事解男神(ことさかのおのかみ)、速玉男神(はやたまのおのかみ)。手広の鎮守。もともとは青蓮寺支院の宝積院が管理していたとされ、本地仏は如意輪観音であったという。このことから青蓮寺の鎮守であったのかもしれないが、宝積院が江戸時代に廃寺になったので詳しいことはわからない。慶安元年(1648)の棟札には「別当宝積院」と見え、『新編相模風土記稿』にも「宝積院持」とある。またこの棟札には領主大岡氏・年寄和田氏・名主内海氏の他、官途衆(かんどしゅう)・百姓衆が見える。
 例祭の日に社殿の鰐口(社殿や仏堂につるされている金属製の音響具)を叩くと、「どんどん」という音がして神様が出てくるという伝説がある。社殿に棲みついた「てん」が音に驚いて飛び降りてくるので、このような伝説ができたとされている(『かまくら子ども風土記』)。



熊野神社

撮影日:2004年9月22日
鎌倉市手広
(鎌倉郡手広村)

石段 社殿 社殿 石祠 境内

位置

参考文献

『鎌倉市史』社寺編、吉川弘文館、1954年
『かまくら子ども風土記(中)(改訂十版)』、鎌倉市教育委員会、1991年
神崎彰利ほか編『神奈川県の歴史』(県史シリーズ)、山川出版社、1996年
奥富敬之『鎌倉史跡事典 コンパクト版』、新人物往来社、1999年
吉田茂穂『鎌倉の神社』、かまくら春秋社、2002年

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