鎌倉駅の西口から今小路に出て扇ガ谷の方へ進むと、寿福寺手前の路地を少し進んだところの道端に刃稲荷と称する小さな祠がある。このあたりは中世の刀工・正宗の屋敷や工房跡との伝承を持ち、この江戸時代の地誌『新編鎌倉志』には「勝の橋の南にあり、正宗が祀ったものである」といった意味の記載がある。別に正宗稲荷とも言う。


刃稲荷

 なお、ここから南西方向の個人宅の敷地内には正宗の井と伝える古い井戸があった。また、刃稲荷と同様、正宗の屋敷内に祀られていたという伝承を持つ小祠は他に、刃稲荷の西側の無量寺跡、現在「鎌倉歴史文化交流館」の敷地内にあった合槌あいづち稲荷(現在、葛原岡神社境内に移転)がある。

撮影日:2023年2月1日
鎌倉市扇ガ谷一丁目


位置

参考文献

河井恒久ほか編 『新編鎌倉志・鎌倉攬勝考』(大日本地誌大系)(雄山閣、1959年)
『かまくら子ども風土記(上)(改訂十版)』(鎌倉市教育委員会、1991年)
奥富敬之『鎌倉史跡事典コンパクト版』、新人物往来社、1999年


2023/02/02 UP
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